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◆下着泥棒からのギフト

◆下着泥棒からのギフト

「ハンカチ」という課題でシナリオを書きました。
7月に課題を2日で10本書いたときの1本です。
迫りくる締切。
焦って旦那さんに
「ハンカチにまつわる物語と言えば何を思いつく?」と質問。

すると「下着泥棒が下着を盗んだと思ったらハンカチだった」という答え。

え?
それ漫画みたいなベタベタな設定じゃ~ん!
もっと真面目に考えて!

と思いましたが、もう時間がない!
「下着泥棒のストーリー」で書いてみよう、と、あらすじを決めないまま書きはじめたら、
ラストは思わぬ展開になったものです。

時間がない!という焦りは、思いがけない物語をでっちあげるものですね(笑)。

伝統的な課題らしく、1週間きちんと考えて書きたかったのに……
と悔やみながらも「書き上げた私エライ!」と、10秒スイッチしました。

制限ページ数、ギリギリにおさめました。

あと、方言はかなりテキトーですw
その地方の方がいらっしゃったら、ツッコミどころ満載だと思います……。

★人物
田上健司(32)工員
山中康介(44)工員
藤川彩加(24)OL
藤川恭子(42)彩加の母
A 彩加の部屋の隣人

○アパート・外観(夜)
古ぼけた2階建てのアパート。1階に3つの部屋。
1階の左の部屋に明かりはついていない。
田上健司(32)が、周囲を気にしながら、アパートに近づく。1階左の部屋を確認し、茂みがある裏手に回る。

○同・アパートの裏手
田上が腰をかがめて右から現れる。
明かりのついていない部屋の物干し竿、街灯で、洗濯物が干してあるのが薄っすら見える。
田上、側の大きな白いプランターの上に足をかけ、背伸びして洗濯物に手を伸ばす。
と、足を滑らせ、「うわ!」と地面に転がり込む。
隣の明かりのついている窓、ガラッと音を立てて開く。

A(女性の声)「誰?」

田上、全力疾走でその場から逃げ去る。

○アパート・田上の部屋(夜)
ワンルームの部屋。ベッドの他にめぼしい家具はない。
疲れ果てた様子で、田上が部屋に入ってくる。
ベッドに倒れ込み、一息つく。ポケットから何かを取り出す。

田上「あれ?」

ピンクのハンカチを目の前に広げ、驚く。

田上「なんだ、ハンカチかよ~」

広げると、子供が描いたような家族の絵がプリントされていた。
「パパ、ママ、あやか、みんななかよし」と下に描いてある。
何年も使い古したようなハンカチ。

○弁当工場・中(昼)
ベルトコンベアーの横で、10数人の帽子・マスクをつけた男女が働いている。
休憩のチャイムが鳴る。
田上、マスクを外して端の喫煙所に向かう。

○同・休憩所・中
山中康介(44)が座り、煙草を吸っている。
田上「お疲れ様です!康介さん、今夜飲みに行きましょう」
山中「いいね」

○居酒屋(夜)
賑わう店内。カウンターに座る田上と山中。
焼き鳥をつまみに、ハイボールを飲む2人。

山中「そうだ、オマエ、例の片思いの子、どうなったんだよ」
田上「どうもこうも……。接点がないですから」
山中「一目惚れってなかなかできないよな」
田上「へへ……。ホームで時々見かけて……同じ駒込に住んでいるのが、せめてもの望みですよ」
山中「こっちから声をかけるしかないよな」
田上「いや、なんて声をかけていいのか……俺より若いし綺麗な子なんで気がひけます」

山中「オマエみたいなタイプ、後をつけて住んでいるところまで行きそうだよな」
田上「(焦って)えっ……ま、まさか……」
山中「ストーカーにだけはなるなよ。正々堂々と正面から行け!」
田上「そういう康介さんは、再婚しないんですか?」
山中「……オレにはそんな資格はない。オレのことは放っておけ」

グイッとハイボールを飲み干し、店員に声をかける。

山中「同じのお願いします」

○アパート・彩加の部屋(夜)
藤川彩加(24)と藤川恭子(42)がテーブルに座っている。
恭子の側にスーツケースがある。

恭子「泥棒だなんてビックリしたばい!」
彩加「大袈裟なんやけん!交通費かかるやろ」
恭子「やけん1階は危なかって言うたやろ」
彩加「隣の人がおったけん、大丈夫。でも……あのハンカチが盗られてしまったんよ」
恭子「……あ……、彩加が描いた絵ばプリントしたやつね」
彩加「色々あったけど、パパは優しか人やった」
恭子「……もう12年経ったんね。どこで何しよーんかね」

○居酒屋(深夜)
山中と田上、かなり酔っぱらっている。
田上がビールの瓶をひっくり返し、山中のショルダーバックにかかる。

田上「あぁっ! すみません!」
慌てた田上、ポケットからハンカチを取り出し、ショルダーバッグを拭く。

田上「飲みすぎましたね。もう帰りましょう」

山中、目を見開いている。

山中「そ、そのハンカチ、見せてくれ……」

山中、田上からひったくるようにハンカチを取り、広げる。

田上「えっと、そ、それ拾ったんですよ」
山中「(掴みかかる勢いで)どこで??」

山中、ショルダーバッグを開け、中から青いハンカチを取り出す。
田上が持っていたハンカチと同じ絵が描かれている。

田上「こ、これは?」
山中「昔、娘が父の日に描いてくれた絵を、ハンカチにプリントしたんだ」

田上、驚きで声が出ない。

山中「もうずっと会っていない。オマエ、これどこで拾ったんだ?」
田上「そ、それは……じ、実は……」

○アパート・彩加の部屋(朝)
出かける様子の彩加。

彩加「お母さん、コンビニで牛乳買ってくるね」
彩加、玄関に向かう。

彩加の声「え~~~!」

彩加、部屋に飛び込んでくる。

彩加「玄関のドアにこれが……」
と、紙袋からピンクのハンカチを取り出して見せた。

恭子「泥棒が返してくれたと?」

彩加、さっぱり意味がわからないという表情で立ちすくんでいる。

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